OOH(オーオーエイチ)
広告とは?
デジタル時代に
再評価される屋外広告の
種類や特徴を解説
2025.11.20
現代のマーケティング環境は、デジタル化の進展により日々変化しています。その中で、古くから存在する広告媒体である「OOH(Out Of Home)広告」が再評価されています。その理由は、OOH広告が屋外の看板や交通機関内のポスターにとどまらず、デジタル技術との融合により、パーソナライズされ、インタラクティブな体験を提供する媒体へと進化を遂げているからです。この記事では、OOH広告の基本から種類、特徴、メリットまでを詳しく解説します。
OOH広告とは?
OOH広告とは、消費者が家庭の外で接触するあらゆる広告媒体の総称です。その長い歴史の中で、デジタル技術の進化とともに大きく変革し、新たな価値を生み出し続けています。ここでは、OOH広告の基本定義から、デジタル化による進化、そして近年注目されているデジタルOOH(DOOH)について解説していきます。
OOH広告の基本定義
OOHとは「Out Of Home」の頭文字をとった略語で「オーオーエイチ」と読みます。文字通り、消費者が「家庭の外」で接触するあらゆる広告メディアのことを指します。具体的には、都市の景観に溶け込む大型看板や、駅・電車内で目にする交通広告、そして近年急速に普及しているデジタルサイネージなどです。
OOH広告は、主に電車やバス、空港などの公共交通機関に設置される「交通広告」と、街中や商業施設などに設置される「屋外広告」に大きく分けられます。
OOH広告の歴史とデジタル化への進化
OOH広告は、数ある広告媒体の中でも最も長い歴史を持つ形態の一つです。その起源は紀元前にまで遡るといわれており、古代ローマの壁画やエジプトのオベリスクに刻まれた碑文なども、広義のOOH広告といえます。
この伝統的な広告手法は、近年、デジタル技術の飛躍的な進化によって大きな変革期を迎えています。かつては静的なポスターや看板が主流でしたが、今ではリアルタイムでの情報更新やインタラクティブなコンテンツ配信が可能となり、単なる「見る広告」から「体験する広告」へと進化を遂げているのです。
注目されるDOOH
デジタルOOH(DOOH)は、OOH広告の領域で普及しているデジタル技術を活用した広告形態を指します。リアルタイムでの情報更新や、ターゲットに応じたコンテンツを配信でき、静止画以外にも動画やアニメーション、音声を使った表現が可能です。
また、強い視覚的インパクトを瞬時に与えられるだけでなく、スマートフォンと連動した視聴者参加型のキャンペーンなど、広告効果を高めるための様々な工夫もできるようになっています。従来のOOH広告にはなかった、パーソナライズされた体験の提供も大きな魅力です。
OOH広告のメリット5選
OOH広告は、デジタル時代に有効なマーケティング手法として評価されています。その理由は、OOH広告に以下のような独自の強みとメリットがあるからです。
1. 繰り返し見てもらえる可能性が高い
2. エリアを絞ってターゲティングできる
3. 人の記憶に残りやすい
4. デジタルと連携できる
5. コストパフォーマンスがよい
ここでは、OOH広告のそれぞれのメリットについて詳しく解説します。
1.繰り返し見てもらえる可能性が高い
OOH広告は、通勤・通学などの日常動線に設置されるため、反復的な接触が記憶の定着を促します。そのため、ブランドの認知度向上に大きく貢献します。特に交通広告、とりわけ車両メディアは、毎日同じ路線を利用する人々に対して繰り返し広告を提示できるため、その効果が顕著に現れるでしょう。
2.エリアを絞ってターゲティングできる
OOH広告は、特定の地域や通行人をターゲットに設定できるのが特徴です。特定のエリアの人々に繰り返し接触できるため、商品やサービスの認知を効果的に促せます。地域密着型のビジネスや、特定の生活圏の消費者へのアプローチに有効な手段といえるでしょう。広告を出す場所を慎重に選ぶことで、より効果的なマーケティング活動が実現できます。
3.人の記憶に残りやすい
映像と画像を使えるデジタルサイネージや街頭ビジョン、大型の広告看板などは、遠くから見ても目立つ強いインパクトがあります。視覚的なインパクトと繰り返し目に触れる特性が相まって、人々の記憶に残りやすいのです。
また、OOH広告の魅力として、広告到達率(=掲出期間中に「見た」または「見たと感じた」と答える人の割合)においても一定の効果が期待できます。株式会社春光社の調査によると「バス停広告の広告到達率は64.5%、特に20代では70%にも達した」というケースが報告されており、その効果の高さが見て取れます。
※出典:株式会社春光社「OOH広告の効果測定を成功させる方法|調査設計・事例・費用まで解説」
https://shunkosha.co.jp/column/ad-board/column-59240
4.デジタルと連携できる
OOH広告でブランドを認知させ、その後にスマートフォンで検索してもらうなど、オンライン広告との相乗効果が期待できます。最近では、デジタルサイネージを活用したデジタルOOH(DOOH)広告が主流になりつつあり、リアルタイムでのコンテンツ更新や、時間帯や曜日によるコンテンツの出し分けも可能です。
より柔軟で効率的な広告運用ができるため、オンラインとオフラインを連携させた統合的なマーケティング戦略を構築できます。
5.コストパフォーマンスがよい
OOH広告は他のメディアと比較して、広告の表示回数(インプレッション)あたりのコストが低い傾向にあります。特に高トラフィックな場所に設置された広告は、非常に高い費用対効果(ROI)が期待できるでしょう。多くの人々にリーチできるため、費用を抑えながらも広範囲にわたるブランド認知を効率的に図れます。
OOH広告の種類と特徴
OOH広告には、その設置場所や形態によってさまざまな種類があります。OOH広告の主な種類は以下の通りです。
● デジタルサイネージ
● 交通広告
● 駅貼・SP広告
● アドトラック・ラッピングカー
● 街頭ビジョン
● 広告看板
ここでは、代表的なOOH広告の種類とそれぞれの特徴について解説していきます。
デジタルサイネージ
デジタルサイネージは、ディスプレイやプロジェクターなどのデジタル表示機器を使って、映像や文字を表示する情報・広告メディアの総称です。街中の大型ビジョンから、店舗の入り口に設置された小型ディスプレイまでを含みます。ネットワークを通じて、コンテンツをいつでも簡単に更新できるため、柔軟な広告運用ができる点が大きな特徴です動画と音声が流れる広告は、消費者に対して強いインパクトを瞬時に与えられます。
交通広告
交通広告は、OOH広告の中でも通行人や利用者の目に触れやすい媒体として注目されています。バス、電車、タクシーなどの公共交通機関内や、駅構内・ホームなどに設置される広告を指し、それぞれ「車両メディア」や「駅メディア」とも呼ばれています。中吊りポスターや構内広告、車両メディア、電子ディスプレイなど多種多様な形式があり、多くの人々の移動時間にリーチできるのが特徴です。
駅貼・SP広告
駅貼・SP広告は、交通広告の中の「駅広告」の一種で、駅構内の壁面などに掲出するポスター広告のことを指します。駅構内の円柱にポスターを巻きつける「円柱広告」や、駅ホームの天井を利用した「フラッグ」、サンプリングなどができる「イベントスペース」も含まれます。駅を指定した1枚からの出稿はもちろん、人通りの多い場所に複数枚のポスターを連貼りしてインパクトを狙う方法まで多種多様です。
アドトラック・ラッピングカー
車両全体を広告でラッピングし、都市部やイベント会場周辺を移動しながら宣伝する手法です。特定のイベントやキャンペーンに合わせて柔軟なルート設定ができ、広告を見た人に強いインパクトを与えやすいという特徴があります。タクシーの車内に貼ったものも含まれ、視覚的なインパクトと機動性を兼ね備えた媒体として、注目度が高い広告手法です。
街頭ビジョン
都市部の繁華街や主要な交差点に設置された大型デジタルスクリーンを活用した広告手法です。動画やアニメーション、音声を使った表現ができ、通行人やドライバーに対して強い視覚的インパクトを与えられます。
例えば、渋谷のスクランブル交差点に設置された大型ビジョンは、高いリーチ効果を発揮する代表的な街頭ビジョンの一つです。デジタル技術の活用により、広告内容を時間帯やイベントに応じてリアルタイムで変更でき、近年ではスマートフォンと連動したインタラクティブ広告も増加しています。
広告看板
都市部のビル壁面や屋上部分に掲示される大型メディアの総称です。企業のキャンペーン告知、ブランディング、店舗誘引など幅広い目的に利用されています。2週間単位の短期契約から年間単位の長期契約まで期間を選べ、特定のエリアに限定した宣伝が可能です。看板設置エリアの通行人に対して、反復接触効果が狙える点が大きな強みだといえるでしょう。
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まとめ
OOH広告は、紀元前から続く最も歴史ある広告媒体でありながら、デジタル技術との融合により新たな価値を創造しています。繰り返し接触することで高いブランド認知と記憶定着を促すという独自の強みは、デジタル時代においても有効なマーケティング戦略といえます。日本のOOHおよびDOOH市場は、今後も堅調な成長が予測され、重要性もますます高まっていくでしょう。
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