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富裕層マーケティング
成功の鍵|7つのポイントと
成功事例を徹底解説
2025.12.08

富裕層マーケティング成功の鍵|7つのポイントと成功事例を徹底解説

高価格帯の商品やサービスを提供している企業にとって、富裕層へのアプローチは大きな課題です。従来のマスマーケティングが通用しにくいのは、彼らが「価格」ではなく、独自の「価値観」や「経験」に重きを置いていることが要因のひとつとして考えられます。富裕層にリーチするにはその心理と行動原理を深く理解した戦略が不可欠でしょう。当社にも、富裕層をターゲットにして「効果的な広告施策を行いたい」「マス向けとは異なる施策を始めたい」などのご相談をいただいています。

この記事では、富裕層のタイプや行動原理を分析し、成果に繋げるマーケティング活動を行うための具体的な7つのポイントを徹底解説します。富裕層が求める価値やサービスとは何か、どのようにアプローチすれば良いのか、そのヒントをぜひ見つけてみてください。

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なぜ今、富裕層マーケティングが
重要なのか?

なぜ今、富裕層マーケティングが重要なのか?

富裕層マーケティングは、高い購買力を持つ層をターゲットにしたマーケティング手法のことです。まずは、その基本的な定義と、なぜ今この手法が重要視されているのかについて、以下のとおり解説します。

● 富裕層マーケティングとは
● 富裕層マーケティングが効果的な理由

富裕層マーケティングとは

富裕層マーケティングとは、高所得者層や富裕層を主要なターゲットとするマーケティング戦略のことです。富裕層は人数が少なくデータも限定的であるため、大衆向けとは異なる戦略が必要であり、企業にとっては難易度が高い課題です。

富裕層マーケティングの特徴は、単なる価格競争だけではなく、富裕層が商品やサービスが持つ本質的な価値、特別な体験、そして顧客との信頼関係の構築に重きを置く点が挙げられます。短期的な売上にとどまらず、顧客との長期的な関係性を築き、LTV(顧客生涯価値)の最大化、高単価商品の安定的な販売を目指しましょう。

また、この戦略は顧客一人ひとりのニーズを深く理解し、それに応えるパーソナライズされたアプローチを重視しているため、従来の広告とは一線を画しているといわれています。

富裕層マーケティングが効果的な理由

富裕層マーケティングが効果的な理由は、富裕層が持つ独自の消費行動と経済的な影響力にあります。

経済的な余裕がある富裕層は、質の高い商品やサービス、特別な体験に対して高い消費意欲を持っています。そのため、一度信頼関係を築き、企業へのロイヤルティ(愛着や忠誠心)を高めれば、継続的な購入やサービス利用が見込めるため、顧客生涯価値が高くなるのです。

さらに、富裕層は社会的に影響力を持つことが多く、彼らのポジティブな口コミや紹介は、新たな富裕層顧客を獲得するうえで強力なマーケティングツールとなります。世界的に見ても富裕層の数は増加傾向にあり、この層をターゲットにすることは、将来的なビジネス成長の大きな機会となります。

富裕層の分類とその特徴

ひとくちに富裕層と言っても、その背景や価値観は多様です。ターゲットを明確にするためには、いくつかの切り口で富裕層を分類し、その特徴を理解することが重要です。

ここでは、以下の3つの観点から解説します。

● 金融資産別の富裕層
● 形成過程別の富裕層
● 行動タイプ別の富裕層

金融資産別の富裕層

富裕層は、保有する金融資産の額によって、その価値観や消費行動が大きく異なります。野村総合研究所が推計したデータによると、2023年時点の日本における富裕層・超富裕層の世帯数と資産保有額は、過去最多を記録したことがわかっています。

分類 金融資産 資産額 世帯数
超富裕層 5億円以上 135兆円 11.8万世帯
富裕層 1億円以上5億円未満 334兆円 153.5万世帯
準富裕層 5000万円以上1億未満 333兆円 403.9万世帯

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※出典:野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計」
https://www.nri.com/jp/news/newsrelease/20250213_1.html

2021年の調査と比較して、富裕層・超富裕層は148.5万世帯から約11%増加して165.3万世帯に。総資産額は約29%も増えています。

この中には、株式相場の上昇によって「いつの間にか富裕層」になった一般会社員も含まれており、彼らは給与所得の範囲内で生活しているため、従来の富裕層とは異なる消費行動をとることも特徴です。

形成過程別の富裕層

金融資産額が同じでも、資産形成までの過程によって、その価値観や嗜好は大きく違います。資産形成の過程を「資産継承型」「積み上げ型」「瞬発型」の3つのタイプに分類して見ていきましょう。

種類 特徴
資産継承型富裕層 ● 代々資産を受け継いできた層
● 伝統、格式、信頼性、安定性を重視する傾向
● ブランドの歴史やストーリーに価値を見出す
積み上げ型富裕層 ● 事業の成功や投資などで一代で財を築いた層
● 実用性、革新性、自己実現、効率性を重視する傾向
● 新しい技術やサービス、投資機会に積極的
瞬発型富裕層 ● IPOや仮想通貨、芸能、スポーツなどで一気に富を得た層
● 消費意欲が高く、他者と差別化できる「唯一無二」の価値に惹かれやすい傾向

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代々資産を受け継いできた「資産継承型」は、伝統や格式、信頼性を重視する傾向があります。ブランドの歴史やストーリーに価値を見出すことが多いです。

一方、事業の成功や投資で一代で財を築いた「積み上げ型」は、実用性や革新性、効率性を重視する傾向があります。新しい技術やサービス、投資機会に積極的です。

そして、IPOや仮想通貨、芸能、スポーツなどで一気に富を得た「瞬発型」は、消費意欲が高く、他者と差別化できる唯一無二の価値に惹かれやすいという特徴があります。これら3つのタイプは、それぞれ異なるアプローチを必要とします。

行動タイプ別の富裕層

デロイト トーマツが世帯年収2,000万円以上を対象に行った調査では、国内の富裕層をさらに5つの行動タイプに分類しています。これらのタイプは、消費行動や嗜好に関するデータに基づいており、マーケティング戦略を練るうえで役立ちます。

タイプ 特徴
伝統派 成長志向と社会的責任を統合した意識高いライフスタイルを重視
個性派 品質と個人の好み、独自性を重視
堅実派 合理性や実用性、コストパフォーマンスを重視
無色派 最小限の社会的影響と個人ブランディングを重視
先進派 デジタル感度が高くトレンドを重視

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※出典:デロイトトーマツ『2024年度「国内富裕層意識・購買行動調査」』
https://www.deloitte.com/jp/ja/Industries/consumer-products/research/wealthyconsumer-behavior-survey-2024.html

これらのデータから、ターゲット層の理解を深めることが不可欠です。それぞれのタイプが求める価値を踏まえた提案をすることで、より効果的なマーケティングができるでしょう。

他社の成功事例から学ぶ
富裕層マーケティング

他社の成功事例から学ぶ富裕層マーケティング

富裕層マーケティングの成功には、具体的な成功事例から学ぶことが最も近道です。ここでは、富裕層の心を掴むことに成功した3つの事例を紹介します。

● 高級車(顧客のロイヤルティを高める体験設計)
● 会員制の宿泊サービス(限定性と特別感を演出する)
● 金融コンシェルジュ(信頼関係を核としたサービス)

それぞれどのような戦略を用いて、顧客のロイヤルティを高めているのか見ていきましょう。

高級車
(顧客のロイヤルティを高める体験設計)

高級車ブランドは、単なる移動手段としての車ではなく、ブランドの世界観そのものを体験できるラウンジや試乗イベントを提供しています。顧客は「車を所有するストーリー」や「特別な体験」を重視するため、こうした取り組みが感情的なつながりと高いロイヤルティを築く鍵となります。

例えば、トヨタのレクサスは「EXPERIENCE AMAZING」というブランドメッセージを掲げ、オーナーズラウンジの提供や納車時の特別演出、パーソナルアシストサービスなど、顧客体験を徹底的にデザインしています。これにより、単に高価な車を売るだけでなく、特別なコミュニティへの所属感を提供しているのです。

※参考:TOYOTA「CAFE LOUNGE | LEXUS MEETS...」
https://global.toyota/info/lexusmeets/cafe/

会員制の宿泊サービス
(限定性と特別感を演出する)

「選ばれた会員のみ」が利用できる会員制の宿泊サービスは、富裕層の承認欲求を満たすマーケティング手法です。プライベートリゾートとして展開し、非日常的な空間と排他性を演出することで、高い満足度とリピート利用を促します。

例えば、エクシブや東京ベイコート倶楽部、サンクチュアリコートなどは、初期費用や年会費を設けることで、入会すること自体にステータスを感じさせます。また、これらの会員権は資産として保有することもでき、法人利用だけでなく個人の富裕層にも魅力的な選択肢となっているのです。

※参考:リゾートトラストグループ サービスサイト「会員権購入をご検討の方」
https://www.rtg.jp/consider_membership/

金融コンシェルジュ
(信頼関係を核としたサービス)

プライベートバンクなどの金融コンシェルジュサービスは、富裕層マーケティングの最も重要な要素である「信頼」を核としています。資産運用だけでなく、税務、相続、事業承継、さらにはライフスタイル全般の相談に応じることで、顧客の複雑な課題に深くコミットすることが可能です。

例えば、三菱UFJ銀行が掲げる「ウェルスマネジメント戦略」のように、顧客の資産を総合的に管理し、長期的な信頼関係を構築することが、サービスの成功につながっています。専門性と守秘義務を徹底することで、顧客は安心して自身の資産全体を任せられるようになるのです。

※参考:三菱UFJ銀行「MUFGウェルスマネジメントとは」
https://www.bk.mufg.jp/soudan/shisan/lp/about/index.html

富裕層マーケティングを成功させる
7つのポイント

富裕層マーケティングを成功させる7つのポイント

富裕層マーケティングを成功させるためには、彼らの心理と行動原理を深く理解し、それに基づいた戦略的なアプローチが必要です。ここでは、特に重要な7つのポイントを解説します。

1. ターゲット富裕層を明確にする
2. 口コミや紹介で信頼を築く
3. 「モノ」ではなく「体験」を提案する
4. 特別なプライベートイベントを開催する
5. 顧客との関係を築く「プル型」アプローチ
6. パーソナライズされたDMを活用する
7. ターゲティング広告で効率的にリーチする

1.ターゲット富裕層を明確にする

富裕層と一口に言っても、その価値観は多様です。まずは、金融資産、形成過程、行動タイプといった観点からターゲット像を具体的に設定しましょう。彼らのライフスタイル、価値観、悩み、情報収集源などを深く掘り下げて理解することが不可欠です。

ターゲットが明確になることで、どのようなメッセージを、どのチャネルで、どのような体験とともに提供すればよいのかが最適化されます。これにより、漠然としたアプローチではなく、本当に響く戦略を講じることが可能です。

2.口コミや紹介で信頼を築く

富裕層は一般的な広告よりも、信頼できる人からの情報や紹介を重視する傾向が強いといった特徴があります。そのため、既存の富裕層顧客の満足度を最大限に高め、自然な形で紹介を促す仕組みを構築することが重要です。

そこで、クローズドなコミュニティやイベントを通じて富裕層同士の交流を促進し、そこから口コミが広がる創出する施策などが有効だと考えられます。また、影響力のあるインフルエンサーやキーパーソンとの連携も、信頼獲得の有効な手段となり得るでしょう。

3.「モノ」ではなく「体験」を提案する

富裕層は、物質的な豊かさだけでなく、商品やサービスを通じて得られる「特別な体験」や「感情的な価値」に重きを置く傾向があります。ただ高級な「モノ」を売るのではなく、それが提供する「得られる未来」や「自己実現」に焦点を当てて訴求することが大切です。

例えば、高級腕時計は単なる時間を知るための道具ではなく、洗練されたデザインや職人技、そのブランドが持つ歴史やストーリーを体験するものです。顧客が商品を通じて何を得られるのかを具体的に提示することで、購買意欲を高めることができるでしょう。

4.特別なプライベートイベントを開催する

ごく一部の顧客のみを招待するクローズドなイベントは、富裕層にとって非常に魅力的です。非日常的な空間、特別なゲスト(著名人や専門家)、パーソナルな交流の場を提供することで、優越感と特別感を演出することができます。

具体的には新作発表会や限定アート鑑賞会、プライベートワインテイスティング、専門家との少人数交流会など、顧客の興味関心に合わせたイベントを企画することで、ブランドへのロイヤルティを強固にできます。これらのイベントは、単なる販売促進ではなく、顧客との深い関係性を築くための重要な接点となるでしょう。

5.顧客との関係を築く「プル型」アプローチ

富裕層は、一方的に押し付けられるようなプッシュ型の広告や営業を好まないことがあります。そのため、顧客自身が興味を持ち、自ら情報を求めに来るような「プル型」の仕組み作りが重要です。質の高いコンテンツ(専門性の高い記事、動画、レポート、ホワイトペーパーなど)を提供し、顧客の課題解決に貢献しましょう。

また、ウェビナーやセミナー、個別相談会など、価値提供型の接点を設けることで、顧客との信頼関係を深められます。こうしたアプローチは、顧客に「この企業は私のことを理解してくれている」という安心感を与え、最終的な購買につながるのです。

6.パーソナライズされたDMを活用する

デジタル化が進む現代でも、パーソナライズされたDM(ダイレクトメール)は富裕層に響きやすい有効な手段です。顧客一人ひとりの興味や過去の購買履歴、問い合わせ内容に基づいた個別メッセージを記載することで、特別感を演出できます。

また、手書きのメッセージを添えたり、特別な装丁や素材を用いたDMにすることも効果的です。限定品や先行情報、特別なイベントへの招待状など、優越感を刺激する内容を盛り込むことで、開封率と反応率を大幅に高めることができるでしょう。

7.ターゲティング広告で効率的にリーチする

富裕層が接触する可能性の高い媒体に絞って広告を出稿することも重要です。高級ライフスタイル誌、専門誌、富裕層向けWebサイト、特定の会員制サービス媒体などを活用しましょう。

また、デジタル広告では詳細なデモグラフィック(年齢、居住地など)やサイコグラフィック(趣味、関心事など)のターゲティング機能を活用し、効率的にリーチできます。加えて、特定の高級住宅街や商業施設周辺へのジオターゲティングも、オフラインでの購買行動を促す有効な手段です。

まとめ

まとめ

富裕層マーケティングの成功には、ターゲット層への深い理解と戦略的なアプローチが不可欠です。本記事でご紹介した7つのポイントや成功事例が参考になれば幸いです。

富裕層が求めるのは単なる商品やサービスではなく、特別な体験と信頼関係です。この点を押さえた上で、具体的な戦略を実行することが、成功への鍵となります。もし、具体的な戦略でお悩みなら、ぜひ阪神阪急マーケティングソリューションズ株式会社にご相談ください。貴社の課題に合わせて、事前リサーチや媒体選定、クリエイティブ制作、Web施策まで、一気通貫でサポートいたします。どうぞお気軽にお問い合わせください。