初心者向け!
ターゲットマーケティングの
基本と分析方法を
分かりやすく解説
2025.12.23
マーケティング活動で成果を出すために「ターゲットの明確化と戦略が必須」であることは、誰もが理解していますが、実務に落とし込むと手が止まる——その結果、「自社にとってのターゲットがわからない」「どうやって決めたらいいか」という課題に直面する担当者は少なくありません。結果として、自社の発信するメッセージや広告は、競合の情報に埋もれてしまい、見込み客に「届かない」「響かない」という課題を招いています。こうした課題について、当社にも多くのご相談をいただいています。
こちらの記事では、わかっているつもりで実は見落としがちなターゲットマーケティングの基礎から、現場で役立つ具体的な戦略手法まで、初心者にもわかりやすく解説します。貴社のマーケティング活動の参考とするために、ぜひご活用ください。
ターゲットマーケティングの基礎知識
現代のビジネス環境で不可欠なターゲットマーケティングについて、まず基本的な概念から解説します。
● ターゲットマーケティングとは
● マスマーケティングとの違い
● ターゲットマーケティングが現代ビジネスに欠かせない理由
ターゲットマーケティングの基礎知識を理解して、売上拡大に役立てましょう。
ターゲットマーケティングとは?
ターゲットマーケティングとは、商品やサービスを購入する可能性が最も高い特定の顧客層に、メッセージやマーケティング予算を集中させる戦略のことです。これは、市場全体を対象とするマスマーケティングとは対照的なアプローチです。市場全体を、見込み客の興味やニーズに基づいて細分化します。
ターゲットマーケティングの主な目的は、収益の最大化です。見込み客のニーズを調査し、最も成約率の高い顧客層に的を絞ってアプローチするため、マーケティング活動の効率を大幅に高められます。また、無駄なコストの削減にも寄与します。
マスマーケティングとの違い
ターゲットマーケティングとマスマーケティングは、アプローチの根本的な考え方が異なります。マスマーケティングは、テレビCMや新聞広告のように広範な認知を獲得するのに対し、ターゲットマーケティングはより特定の層に深く訴求する点が特徴的です。
それぞれの違いを以下の表にまとめました。
| 項目 | ターゲットマーケティング | マスマーケティング |
|---|---|---|
| 対象 | 細分化された特定の顧客層 | 市場全体 |
| リーチ | 限定的 | 広範 |
| メッセージ | 個別ニーズを深く訴求する | 一般的 |
| 費用対効果 | 高い費用対効果とROIが期待できる | 費用がかかる |
| ブランドイメージ | 一貫性がある | 希薄化しやすい |
| 顧客との関係 | 顧客ロイヤリティが向上しやすい | 一次的な購入に留まりやすい |
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マスマーケティングは、広範囲にリーチできる代わりにメッセージが希薄になりやすいため、多様なニーズを持つ現代の消費者には響きにくいという課題があります。一方、ターゲットマーケティングは、限定的なリーチであっても、顧客との深い関係性を築きやすいです。
ターゲットマーケティングが
現代ビジネスに欠かせない理由
現代の市場は、モノや情報が飽和状態になっています。不特定多数に届けることを目的としたマスマーケティングでは、当たり障りのないメッセージになりがちです。
しかし、このような状況下においてターゲットマーケティングは非常に有効です。その理由として、主に以下の点が挙げられます。
● 顧客ニーズの多様化
● デジタル技術の進化
● 競争の激化
近年、顧客は自身の価値観やライフスタイルに合った商品を求める傾向があり、ニーズが多様化しています。さらに、SNSやWebサイトのデータ分析技術の進化により、こうした顧客のニーズを詳細に把握できるようになりました。多くの競合他社がひしめく中で、データをもとに自社と親和性の高い顧客にアプローチできるターゲットマーケティングは、現代ビジネスに非常にマッチしています。
さらに、ターゲットマーケティングを利用すれば、以下のようなメリットを得られます。
● より効率的なアプローチができ資源の無駄がなくなる
● 深いエンゲージメントを築けるため顧客満足度が向上する
● ロイヤルティの構築により長期的な関係性を作れる
● 一貫したメッセージを発信することでブランド価値を向上できる
限られたリソースを効果的に配分でき、顧客のニーズに合った商品やサービスをピンポイントで届けられます。
ターゲットマーケティング成功の
3ステップ
ターゲットマーケティングを成功させるためには、計画的かつ段階的に戦略を進める必要があります。ここでは、3つのステップに分けて成功へのロードマップを解説します。
● ステップ1:セグメンテーション(市場の細分化)
● ステップ2:ターゲティング(狙う市場の決定)
● ステップ3:ポジショニング(独自の立ち位置の確立)
それぞれのステップを丁寧に進めることで、より効果的なマーケティング戦略を構築できるでしょう。
ステップ1:セグメンテーション
(市場の細分化)
セグメンテーションとは、市場全体を共通のニーズや属性を持つグループに細分化するプロセスを指します。このステップは、ターゲットマーケティングの出発点となります。顧客の理解を深めるために、以下の4つの切り口で分類を行うのが一般的です。
● 地理的変数(ジオグラフィック)
● 人口統計的変数(デモグラフィック)
● 心理的変数(サイコグラフィック)
● 行動変数(ビヘイビオラル)
それぞれの切り口を組み合わせることで、より精度の高いセグメントを作成できます。各セグメンテーションの特徴を表にまとめました。
| 変数 | 詳細 |
|---|---|
| 地理的変数 |
● 顧客を居住地や地理的な特性に基づいて分類 ● 国、地域、都道府県、市区町村 ● 気候、人口密度、文化、言語なども含まれる |
| 人口統計的変数 |
● 顧客の客観的な属性に基づいて分類 ● 年齢、性別、職業、学歴、所得、家族構成など ● 最も一般的に使われる切り口 |
| 心理的変数 |
● 顧客の心理や内面に基づいて分類 ● 価値観、ライフスタイル、興味、関心、パーソナリティなど |
| 行動変数 |
● 顧客の行動パターンに基づいて分類 ● 購買履歴、商品の使用頻度、Webサイトの閲覧履歴、ロイヤルティ(ブランドへの忠誠度)など |
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補足として、心理的変数は人口統計的変数だけでは捉えきれない、顧客の「なぜその商品を買うのか?」という動機を理解するのに役立ちます。また、行動変数は顧客の実際の行動からニーズを分析するため、最も具体的で実践的なセグメンテーションといえるでしょう。
ステップ2:ターゲティング
(狙う市場の決定)
セグメンテーションで細分化した市場の中から、自社が狙うべき顧客層(ターゲット)を決定するプロセスがターゲティングです。このプロセスには、主に以下のような2つの戦略があります。それぞれの戦略は、企業の規模や事業内容、目標に応じて使い分けるとよいでしょう。
● 差別型(マルチセグメント)
● 集中型(ニッチマーケティング)
差別型(マルチセグメント)は、複数のセグメントをターゲットに設定し、それぞれに合わせた異なる製品やマーケティング施策を展開する戦略です。多様なニーズを持つ顧客に対応できるため、市場シェアの拡大を目指す大企業によく用いられます。
一方、集中型(ニッチマーケティング)は、特定のセグメントに経営資源を集中させ、その市場で圧倒的な地位を確立することを目指します。専門性の高い商品やサービスを持つ企業、あるいはリソースが限られている中小企業やスタートアップにとって有効な戦略です。
ステップ3:ポジショニング
(独自の立ち位置の確立)
ポジショニングとは、ターゲット顧客の心の中に、自社の商品やサービスが競合他社と比べてどのような独自の価値を持っているかを明確に印象づける活動のことです。単に「良い商品」と伝えるだけでなく、「他のどこにもない、こんなに良い商品」という独自の立ち位置を確立することが目的となります。これは、市場における自社のユニークな存在意義を定義するプロセスであり、顧客が商品を選ぶ際に「これだ!」と感じてもらうための、強力な差別化戦略です。
ポジショニングを明確にするためには「ポジショニングマップ」を作成するのがおすすめです。価格、品質、デザイン、機能性、ブランドイメージといった軸を選定し、自社と競合他社の位置をマッピングします。
ポジショニングマップを作る手順例は以下の通りです。
1. 軸の選定(価格、品質、デザイン、機能性、ブランドイメージ)
2. 自社と競合との配置
3. 市場の空白地帯を探す
競合がひしめき合っている領域から離れ、自社が独占できるような独自の立ち位置を見つけ出すことが、成功への鍵となるでしょう。
ターゲット顧客の分析方法
ターゲットマーケティングを成功させるためには、ターゲット顧客をより精度高く設定する必要があります。ここでは、そのための2つの分析方法をご紹介します。
● ペルソナ設計
● カスタマージャーニーマップ
顧客を多角的に理解し、より効果的なマーケティング戦略を立てるのに役立てましょう。
ペルソナ作成
ペルソナとは、自社の理想的な顧客像を、あたかも実在する一人の人物であるかのように具体的に設定したものです。単なる「30代女性」といった抽象的なものではなく「都内在住の35歳、IT企業に勤める独身女性、老後が心配で投資に興味を持ち始めた、名前は田中花子」のように、具体的なプロフィールや価値観、悩みまでを詳細に作り込みます。これにより、チーム内で顧客像を共有しやすくなり、マーケティング施策の方向性を統一できます。
「ターゲット」と混同しやすい用語ですが、ペルソナとは以下のような違いがあります。
● ターゲット:「20代〜30代のビジネスパーソン」のように、年齢や職業などの属性で定義する広範な顧客層
● ペルソナ:「○○という課題を抱え、○○なライフスタイルを送る、○○さん」のように、人格や背景までを掘り下げた、たった一人の架空の人物。
ペルソナ作成の具体的な手順は、まず「どんな仕事をしているか」「どんな悩みを抱えているか」など、具体的な質問リストを作成することから始めます。
次に、顧客へのインタビューやアンケート、様々なチャネルから情報を収集します。最後に、集めた情報をもとに、名前や年齢、職業、家族構成、趣味、価値観、悩み、目標といった項目を埋めていくとよいでしょう。写真やイラストも加えることで、よりイメージが明確になります。
現代においては、従来のアナログな手法だけでなく、Webサイトのアクセス解析や運営しているSNSアカウント、またソーシャルリスニングなどによって、ペルソナ設計に役立つさまざまなデータを可視化・定量化できる時代となりました。当社においても、ペルソナ設計を実施する際は分析ツールなどのデータを活用しています。
カスタマージャーニーマップ
カスタマージャーニーマップとは、ペルソナが商品やサービスを認知してから購入・利用に至るまでの一連のプロセスを、時系列で可視化した図のことです。顧客がどのような段階で、何を感じ、何を考え、どのような行動をとるのかを、「旅(ジャーニー)」のように表現します。
このマップを作成することで、顧客の視点に立って物事を考えられるようになり、顧客体験の課題を特定し、改善策を講じるのに役立ちます。また、チーム内での目的や目線を合わせるという意味でも大きな意味があります。
カスタマージャーニーマップで分かることは以下の通りです。
● 顧客の行動や感情の変化
● それぞれの段階で顧客が抱える課題や悩み
● 自社が顧客と接触するすべてのタッチポイント(接点)
● 各段階で提供すべき最適な情報や体験
マップの作成手順は、まず「新規顧客の獲得」「リピート率の向上」など、マップ作成の目的を明確にします。次に「認知」「興味・関心」「比較・検討」「購入」「利用・共有」といったフェーズに分け、各段階でペルソナがどのような行動をとるかをリストアップしましょう。
そして、各行動の裏側にある「なぜ?」や「どう感じているか?」を深く想像します。「価格が高い」「もっと詳しく知りたい」といった感情を書き込むとよいでしょう。最後に、各フェーズで顧客が直面する課題を見つけ出し、それらを解決するための自社の施策を考えます。
ターゲットマーケティングを
成功させるための4つの注意点
ターゲットマーケティングは、一度設定すれば終わりというわけではありません。市場や顧客の状況は常に変化するため、継続的な見直しと改善が大切です。ここでは、ターゲットマーケティングを成功させるために、特に注意すべき4つのポイントについて解説します。
● データを活用し検証する
● ターゲットは常に変化する
● ペルソナは仮説に過ぎない
● 口コミやリアルな体験も重視する
注意点に留意して、長期的な視点で成功を目指しましょう。
データを活用し検証する
ターゲットマーケティングの成功は、仮説に基づいた戦略の実行と、その結果の検証にかかっています。
● Webサイトのアクセス解析
● SNSのエンゲージメント率
● 顧客アンケート
● 売上データ
以上のような様々なデータを収集・分析し、設定したペルソナや戦略が適切だったか、期待通りの効果が出ているかを常に検証するようにしましょう。
思うような結果が出ていなければ、ペルソナを見直したり、ポジショニングを変更したりするなど、柔軟に戦略を修正します。データに基づいたPDCA(Plan・Do・Check・Action)サイクルを回し、より精度の高いマーケティング活動を実施することが重要です。
現代は、分析できるデータの種類や量が膨大になっていることから「データは溜まっているけどどう活用したらいいかわからない」という課題を抱えてしまうケースがあります。デジタルツールなどを活用した複雑なデータから、膨大なデータの中から施策に直結するインサイト(洞察)を見つけ出すために、データ収集前に活用目的を明確にし、仮説を立てておくことをおすすめします。データの活用について課題がありましたら、ぜひご相談ください。
ターゲットは常に変化する
消費者のニーズやライフスタイルは、社会情勢や技術革新によって絶えず変化しています。そのため、数年前のペルソナが今の市場に合っているとは限りません。
例えば、コロナ禍で在宅勤務が普及したことで、人々の購買行動や情報収集の方法は大きく変化しました。その後、通勤型の働き方が一部で戻りつつありますが、コロナ禍以前とまったく同じ状況には戻ってはおらず、状況は常に変化し続けています。このような市場の変化を常に敏感に察知し、定期的にターゲット層を見直していくことが持続的な成功への鍵となるでしょう。
ペルソナは仮説に過ぎない
ペルソナは、あくまでマーケティング戦略を立てるための「仮説」であり、完璧なものではないことを忘れてはいけません。特定の人物像に当てはめすぎると、かえって視野が狭くなり、見込み客を取りこぼしてしまう可能性もあります。
したがって、ペルソナはあくまで戦略の「出発点」と捉え、実際にマーケティング施策を実行した後の顧客の反応から、ペルソナ像を常にアップデートしていく姿勢が重要です。現実の顧客データやフィードバックと照らし合わせながら、より精度の高いペルソナを育てていきましょう。
口コミやリアルな体験も重視する
データ分析は重要ですが、それだけでは見えない顧客の「本音」もあります。SNSの投稿、商品レビュー、顧客からの問い合わせ、さらには実際に顧客と対話する機会を持つなど、データには現れない生の声や感情を把握することも重要です。
商品やサービスの「リアルな体験」から生まれる口コミは、新規顧客の獲得に大きな影響を与えます。前向きな口コミを得るためには、顧客の「体験」に焦点を当て、期待を超える価値を提供することです。データとリアルの両方を活用して、より深い顧客理解につなげていきましょう。
まとめ
本記事では、ターゲットマーケティングの基礎から、成功のための3つのステップ、そして具体的な分析方法や注意点までを解説しました。ターゲットマーケティングは、やみくもに市場全体にアプローチするのではなく、見込み客のニーズに合わせて最適な戦略を展開するための手法です。単なる「絞り込み」ではなく、顧客への「深い理解」そのものといえるでしょう。迷ったときは、ぜひ一度立ち止まって、ペルソナの背景にある「声」に耳を傾けてみてください。
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